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業務用空調機器の仕組み

<例>業務用空調機器の銘板

サイズ38×110 厚1.0 2-φ5 4-R2.5 黒半艶


業務用空調機器は、オフィスや商業施設、工場などの広い空間を快適に保つためのシステムです。その仕組みは家庭用エアコンと基本的には同じですが、規模や制御の面でより高度な技術が使われています。


業務用空調機器の基本的な仕組み

業務用空調は、主に「冷媒サイクル」と「空気の流れ」の2つのメカニズムで動作します。

1. 冷媒サイクル(ヒートポンプの原理)

冷暖房の切り替えは「ヒートポンプ」という仕組みを利用しています。

(1)冷房時

  1. 圧縮:コンプレッサーで冷媒ガスを圧縮し、高温・高圧の状態にする。
  2. 放熱:凝縮器(屋外機の熱交換器)で外気に熱を放出し、冷媒を液体にする。
  3. 膨張:膨張弁を通して冷媒の圧力を下げ、低温・低圧の液体にする。
  4. 吸熱:蒸発器(屋内機の熱交換器)で室内の熱を吸収し、冷媒が再び気化する。

このプロセスを繰り返すことで、室内の熱を屋外に運び、冷却します。

(2)暖房時

冷房時のサイクルを逆にして、室外の熱を室内に運びます。

  1. 室外の熱を冷媒に吸収
  2. 圧縮して高温化
  3. 室内で熱を放出
  4. 再び冷媒を低温にして室外の熱を吸収

このように、ヒートポンプの原理によって省エネルギーで冷暖房を行います。


2. 空気の流れ(ダクト・ファン・室内機)

業務用空調は、空気を効果的に循環させるための設計が施されています。

  1. 室内機の種類

    • 天井埋込型(カセット型):広い範囲を均一に冷暖房
    • 壁掛け型:小規模な店舗やオフィス向け
    • 床置き型:天井に設置できない場合に使用
    • ダクト型:天井裏に設置し、目立たずに空調を行う
  2. 送風・換気

    • 室内の空気を吸い込み、熱交換器を通過させて適切な温度に調整
    • ファンで空気を吹き出し、部屋全体に広げる
    • 換気システムと連携し、外気を取り入れながら空気を循環

業務用空調の種類

1. パッケージエアコン(PAC)

最も一般的なタイプで、室内機と室外機がセットになったシステム。

  • 小~中規模のオフィスや店舗向け
  • 省エネ性能が高い

2. ガスヒートポンプエアコン(GHP)

コンプレッサーをガスエンジンで駆動するタイプ。

  • 電力消費を抑えられる
  • 冬場の暖房効率が高い
  • 設置コストが高め

3. ビル用マルチエアコン(VRF/VAV)

1台の室外機で複数の室内機を個別に制御できるタイプ。

  • 大規模なオフィスビルやホテル向け
  • 部屋ごとの温度管理が可能

4. 全熱交換器(換気空調)

外気と室内の空気を交換しながら、温度と湿度を調整する。

  • 換気と空調を同時に実現
  • 室内の温度変化を最小限に抑える

業務用空調の特徴とメリット

エネルギー効率が高い:最新機種はインバーター制御で省エネ
広い空間に対応:複数の室内機を組み合わせて効率よく空調
耐久性が高い:24時間運転に対応する設計
リモート管理が可能:IoT技術を活用し、遠隔操作や自動制御が可能


業務用空調機器は、冷媒サイクルと空気の流れを適切に制御することで、効率的に大規模な空間の温度を管理しています。

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