土に還る樹脂製品は環境への配慮以上の効果を果たせるでしょうか?
2015年8月14日
朽ちた木が次の若木に繋がる役目を果たせるのは生きた証しでしょう。
年々温暖化の影響のせいか、気象現象による災害が大規模にそして頻度も多く感じることが多くなりました。
天然資源である石油から製造される樹脂製品は機能性や汎用性の高さからさまざまな分野で活用されています。
大量消費ばかりでバランスを崩すと大変なことになります、そんなコトは皆さんご存知のはずです。
しかし、便利で流通量も多く使用されたすべての製品がリサイクルされているわけではないのが現状ではないでしょうか。
*** 省資源化に寄与できる…
とうもろこし・サトウキビ・ジャガイモなどといった作物から樹脂製品を製造することができるのです。
これらの原料から得られる「でんぷん質」を醗酵させて分子化させます。
この作業を繰り返して分子の結合をさせることで「ポリ乳酸樹脂(PLA)」が作られます。
さらに「成形」することで製品となります。
家電製品やパソコン部品、3Dプリンターの材料やコップやフォークなどの食器にも使用されています。
しかし、石油系の樹脂「ポリエチレン」「アクリル」「ポリエステル」などと比較すれば、
・耐熱性が弱い(機能が限定される)
・原料が相場による変動で高騰しやすい
・リサイクルにかかる期間が長い(※1)
という面も見えてきます。
※1:これらの樹脂製品が土にかえるまでには約5年の期間がかかりますが、自然界での循環とも比較しても遜色の無いものとされています。
樹木の小枝でも約3年、手首ほどの太さの幹は10年近くかかるそうです。(樹木の種類や樹齢などにもよります)
日本のプラスチック製品のリサイクル率は(2013年現在)約80%程です、統計を取り始めた頃から比べればかなり向上しているのが分かります。
流通量も多い「ペットボトル(PET)」に限れば日本は約85~90%と高く、欧米の22~40%を大きく上回っています。
*** 課題とこれから…
成形・加工時には他の石油系樹脂に比べて「低温」での加工が可能です。
しかし完成時の状態でも熱には弱く、脆い点や成形加工に時間がかかるという点が課題となっています。
実際「紙コップ」のような製品も販売されていますが高温(60℃以上)には変形しやすいという面もありました。
現在は改良も加えられアイロンなどの高温処理にも対応できるものもあります。
また「衝撃にも弱い」という課題がありましたがポリブチレンサクシネート(PBS)やポリビニルアルコール(PVA)などをフィラーとして使用することで対応できるようになりました。
これらのフィラー(充填剤)を使用してもリサイクル性に影響が出ることは無い(少ない)ことが分かっています。
ただ、原材料自体は比較的安価ではありますが、必要量の確保やそのコストには相場の影響などが左右してきます。
例えば「とうもろこし」を主原料としてポリ乳酸樹脂を作ると「原材料全量の約半分を樹脂として製造できる」とされています。
もうすでにパソコンの筐体や自動車部品や食器(コップ、スプーンなど)にも使用されています。
これからもっとお目にかかる機会が増えれば「リサイクル」や「バイオマス分野」への関心もなお一層深まるでしょう。