剥離質の岩石と旧石器(長野県)
2016年2月19日
(イラストはイメージです)
日本国内では主に長野県の霧ケ峰近辺の遺跡から「黒曜石」の石器が多く出土します。
黒曜石の性質として、主に「剥離質」があります。
では、黒曜石とは一体どのような物なのでしょう?(-以下、ウィキペディアより一部、抜粋-)
成分・種類:化学組成上は流紋岩(まれにデイサイト)で、
石基はほぼガラス質で少量の斑晶を含むことがある。
流紋岩質マグマが水中などの特殊な条件下で噴出することで生じると考えられている。
同じくガラス質で丸い割れ目の多数あるものはパーライト(真珠岩)という。
二酸化珪素が約70~80%で酸化アルミニウムが10%強、その他に酸化ナトリウム、
酸化カリウム、酸化鉄、酸化カルシウム等を含む。外縁部と内側では構造が異なる。
また、内部に結晶が認められるものもある。
黒曜石のモース硬度は 5。比重は 2.339 – 2.527。水を 1 – 2% 含む。
性質・特徴:外見は黒く(茶色、また半透明の場合もある)ガラスとよく似た性質を持ち、
割ると非常に鋭い破断面(貝殻状断口)を示すことから先史時代より世界各地でナイフや鏃(やじり)、
槍の穂先などの石器として長く使用された。
日本でも後期旧石器時代から使われていた。当時の黒曜石の産地は大きく3つに分かれており、
その成分的な特徴から古代の交易ルートが推測できる。
産出地:黒曜石は特定の場所でしかとれず、日本では約70ヶ所以上が産地として知られているが、
良質な産地はさらに限られている。後期旧石器時代や縄文時代の黒曜石の代表的産地としては
北海道白滝村、長野県霧ヶ峰周辺や和田峠、静岡県伊豆天城(筏場や柏峠)、熱海市上多賀、
神奈川県箱根(鍛冶屋、箱塚や畑宿)、東京都伊豆諸島の神津島・恩馳島、島根県の隠岐島、大分県の姫島、
佐賀県伊万里市腰岳、長崎県佐世保市周辺などの山地や島嶼が知られる。このうち、姫島の黒曜石産地は、
国の天然記念物に指定されている。
黒曜石が古くから石器の材料として、広域に流通していたことは考古学の成果でわかる。
例えば、伊豆諸島神津島産出の黒曜石が、後期旧石器時代(紀元前2万年)の南関東の遺跡で発見されているほか、
伊万里腰岳産の黒曜石に至っては、対馬海峡の向こう朝鮮半島南部の櫛目文土器時代の遺跡でも出土しており、
隠岐の黒曜石はウラジオストクまで運ばれている。また北海道では十勝地方も産地として非常に有名で、
北海道では現在でも「十勝石」という呼び名が定着している。
(-以上。一部、抜粋-)
黒曜石は縦の打撃を加える事で、扇状に剥離する性質を持っているそうです。
この性質が古代人にとって石器を作る上で好条件となり、
主に、「刃物や矢尻」を作るのに適しており、その切れ味や貫通力は、鉄製の物に引けを取らないと
言われているそうです。
つい先日も、長野県の大野市で(剥離)石器が発見されたと新聞で報じられました。
寒い山間の土地という事で、記事を読みながら「熊なんかと戦ったんだろうか?」
などと、古代ロマンに胸が弾んだ次第であります・・・・。