軽い!強い!変形しない!次世代の素材 炭素繊維編
2016年7月5日
今回紹介するのは炭素繊維という次世代の素材です。
これはその名前が示すとおり炭素からなる繊維で、
日本発の最先端技術であります。
最近のアニメや映画なんかでもロボット物や宇宙開発物ではカーボン素材で作られた創作上のロボットなんかが案外でてきているあたり、近い将来リアルでもでてくるかもしれません。
炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)繊維あるいはピッチ(石油や石炭コールタールの副産物)繊維といった有機繊維を高温で加工し炭化させて作ります。
炭素の含有量は標準弾性率の炭素繊維で90%以上、高弾性率の炭素繊維ではほぼ100%が炭素となります。
現在市販されている炭素繊維のほとんどはPAN繊維を主な原料とするPAN系炭素繊維です。
このPAN系炭素繊維はピッチ系に比べ性能はもちろんコストや使いやすさなどのバランスが優れています。
日本において、このPAN系炭素繊維製造しているので有名なのは東レだ。
炭素繊維の最大の特徴を一言で言い表すならば、「強いのに軽い」に尽きる。
一般的な鉄と比較すると重量の差は大体1/4程度、弾性比率が7倍ほど、強度に関しては10倍も差がでる。
このことからも炭素繊維が従来の金属材料から置き換わっていくことは明白だろう。
さらに言うと耐熱性や耐摩擦性、耐酸性、熱伸縮性、電気伝導性などのさまざまな分野でとても優れた性質を有しているの自然環境や設置条件が厳しい環境でも、長期的に見て安定した働きをしてくれるだろう。
冒頭でもアニメのロボットという話をしましたが、この炭素繊維の特性をリアルで今一番享受しているのが航空宇宙産業です。
強くて軽い、そして気圧や気温の差が生じても形が変形しないというのは設計者のデザインをきちんと計算どおりに作用することを意味します。
これは宇宙空間などの過酷な環境ではとても重要なのは言うまでもありません。
実際に2006年に東レがボーイング787旅客機の胴体、主翼、尾翼などの期待の主要部位に炭素繊維を利用する世界初の取り組みのために炭素繊維を2021年までの16年の長期間にわたって大型契約を結んでいます。
炭素繊維はなにも航空宇宙開発だけではありません、釣竿のような身近なものや、竹刀や弓道の弓なんかの武道の分野でも利用されています。