ステンレス鋼(ステンレススチール)に含まれるクロム(Cr)の量は、その種類や用途に応じて異なりますが、一般的に11%以上のクロムを含む合金を指します。クロムは、ステンレス鋼に耐食性(錆びにくさ)を与える重要な元素です。
主な種類とクロム含有量の例
1.オーステナイト系ステンレス鋼(300系)
・代表例: SUS304
・クロム含有量: 18〜20%
・特徴: 耐食性と加工性が高く、最も一般的なステンレス鋼。
2.フェライト系ステンレス鋼(400系)
・代表例: SUS430
・クロム含有量: 16〜18%
・特徴: ニッケルを含まず、耐熱性が高いが延性が低い。
3.マルテンサイト系ステンレス鋼
・代表例: SUS410
・クロム含有量: 11.5〜13.5%
・特徴: 高強度で、刃物や工具などに使用される。
4.デュプレックス系ステンレス鋼
・クロム含有量: 21〜25%
・特徴: 高い耐食性と機械的強度を兼ね備えている。
クロム含有量の役割
・クロムが酸素と反応して表面に**不動態被膜(酸化クロム層)**を形成し、鉄の酸化(錆び)を防ぎます。
・含有量が高いほど耐食性が向上しますが、他の元素(ニッケルやモリブデンなど)のバランスも重要です。