木工作業に使用する「ニス」って何でしょうか
2015年3月24日
木工製品の最大の魅力は、「表面の”木目””年輪”によって出る模様と素材感」ですね。
私も某メーカー様の木製軸のボールペンを使用していますが、使うごとに “深みが増す” ような気がします。
家具や建材などでは、保護のためにも模様を活かすためにも「ニス」などでツヤとかを加えるとさらに魅力的になります。
*** “ニス” って何でしょうか?…
本来「ワニス」(仮漆)といいます。
それまで使われてきた「和漆」(=和ニス)との区別をするためにも “仮漆”(=洋ニス) と分けて呼びます。
※この “洋ニス”と”和ニス”との区別をする際に紛わしいので
「和漆(和ニス)=漆」
「仮漆(洋ニス)=ニス」
と、いうようになったそうです
原料として、亜麻(寒い地方で育つ一年草で茎は繊維製品に使用される)・アブラギリ(中国などの東アジアの落葉樹)・胡桃(胡桃の殻や実)・荏(エ)ゴマ(東南アジア産のシソ科植物ですが「ゴマ」の代わりとして種子が使われた)などがあります。
こういった自然素材からの原料を溶剤で溶かしてニスは作られているのですが、「水性」「油性」と種類があります。
使用する際の希釈には「水」か「溶剤」を使用することになります。
※安全性だけで考えれば「水性」が良いかもしれませんが、使用するシーンによって使い分けることが必要です
*** “ニス” を使用する際のポイント…
塗布するものには「ペーパー」で軽くヤスリがけをして表面を整えてキレイに(削りかすなどの拭き取り)しておきましょう
一部分に塗布するのなら塗布する範囲外にはしっかりと「養生」をしておきます
※マスキングテープ(ビニール付き)などで垂れた液が付着しないようにしておきましょう。
刷毛を使用して「木目」に沿って直線的に塗布するのが理想です。
あまりペタペタと何度かに分けて塗らずに一気にいきましょう、全体(塗りたい範囲)に塗布できたら必ず「しっかり乾燥」させます。
刷毛ではなくローラーを使用して「一気にやろう」とすると気泡が残る仕上がりになります。
「ニス」を使用する際に水で希釈するタイプとラッカーなどの溶剤で希釈するものがあります。(油性・水性)
どちらも一回塗布するごとに乾燥させて重ね塗りをすることで出したい色の濃さや塗膜の調整をしていきます。
何度かに分けて作業することを前提に考えましょう。
※一回で多量の塗布をしてもムラができるだけでキレイにできませんし、乾燥までに時間もかかります。
直射日光を(なるべく)避けて、乾燥には「一晩くらい」の時間をかけます。
一部の「水性ニス」は乾燥していても「(少し)ベタつく」性質があるので乾いていないと思ってしまうかもしれません。
最後の仕上げの際には細かい目のヤスリを軽くかけてならしておくと良いそうです。
*** ニスを使用した(する)場合の安全性など。…
水性・・・安価で手軽に艶出しなどの作業ができるのが特長です。
刷毛も容器などもササッと洗っておけるので手間もかかりません。
ただし手軽なだけに耐久性には期待が薄いようです。
油性・・・比較的安価で屋内外での使用にも耐えられる性能があります。
溶剤を使用しての希釈には独特のニオイがあることと乾燥するまでに時間がかかります。
しかし艶出し効果や耐久性などは高いので本格的に作業する場合には最適でしょう。
水性ウレタンニス・・・上記の”水性と油性”の良いトコロをもったものですが、コスト面で少し高いのが難点でしょうか。
全般的に水性の「安全性」があり、油性の「高耐久性」もあるので “机(テーブル)や椅子” などに最適です。
溶剤を使用すると「シックハウス症候群」などの心配もあります、こういった面でも「水性」のものが最適ではないでしょうか。
作業もしやすいので「屋内」で使用するものにも適しています。
また、「屋外など」頻繁には作業できない場所では「油性」のもので耐久性を出したほうが良いのかもしれませんね。
***
木製の”ボールペン”や”万年筆”などの筆記具にはニスは使用されていないのですが、オーナーさんが使用するたびに味が出てきます。
わたくしの使用しているボールペンも数年ほど経ちますが購入時と色合いが違っているのはハッキリとわかります。
これも「オーナー(わたくし)から出たエキス(?!)」がニスのような “ツヤ”、”深み” といった味を出しているのでしょうか…。