「油圧」の特徴と油圧ポンプの作動方式
2015年9月25日
大きな力の必要な現場では「油圧」によるシステム(ユニット)が威力を発揮しています。
モノを持ち上げたり・移動させたり・支えたり、また冷却もしていますよね。
*** 油圧ポンプの種類…
油圧ポンプの作動方式には「ギヤ(歯車)を使用したものやエンジンのように”ピストン”を使用したもの」があります。
本体内で二枚のギヤ(歯車)が互いに反対方向へと回転する際に、吸入~排出するという仕組みを「外接式」
一枚の大きなギヤの歯の部分でもう一つのギヤが回転することでできる空間を利用して吸入~排出するという仕組みを「内接式」
この「内接式」「外接式」ポンプは自動車や重機、製造機器類などにも使用されています。
また中央で回転するローターにスリット状の隙間があり一定量の流体を回転しながら移動させ吸入~排出するという「ベーンポンプ」
傾斜のある板を回転させる(固定された傾斜のある板に回転させて接触させる)ことでピストンを動かしシリンダー内に流体を吸入~排出するという「プランジャ(ピストン)ポンプ」という仕組みもあります。
※ クルマのエンジンのようなピストンを放射状に配置してその動きを利用した「ラジアル式」などもあります
それぞれに出力の違いや効率の違いもありますが、
「構造の簡易さ」「保守・点検のしやすさ」「入力・出力の調整もしやすい」などの特徴があります。
油圧ポンプの役割は「バルブ・シリンダーなどへの流量調整」などが自動車では主に行われています。
ブレーキの制御・サスペンションの位置制御・効率のよい「潤滑」「冷却」も担っています。
いまや「電気自動車」「オール電化」など電気ばかりに注目が集まっています。
電気式でこういった「動力の伝達」をするには”モーター”を動力源とする回転運動などの応用に偏りがちになるそうです。
手軽に設置でき操作もしやすいのは良いのですが「ホコリ」「水濡れ」「過負荷」にはちょっと弱い面もあります。
*** ポンプの先は?…
ポンプで得られた出力は先述のように各ユニットなどでシリンダーを制御したり、さらに回転させる「油圧モーター」の動力になったりもします。
「油圧モーター」は構造自体はポンプとさほど変わりありませんが中心となる「軸」の回転により吸入~排出をするのではなく、ポンプから出力された流動油により回転軸を動かし動力と変えるものです。
重機の操作台の回転などといった動きもこの仕組みの一つでしょう。
よく目にするもので主な利用先には「シリンダー」を使用した直線的な動きの制御に使用されます。
空気圧制御と比べて「温度への(温度からの)影響」「”ドレンが出ない””媒体自体に潤滑性がある”といった維持管理のしやすさ」「出力の大きさと調整のしやすさ」が特長です。
構造がコンパクトで制御もしやすく移動速度も「低速・高速」での使用ができ、細かい位置制御にも精度が高いことが挙げられます。
クレーン車のアーム部分も短く収納されていますが「テレスコピック方式」というもので徐々に「伸長」「収納」することができます、こういった出力先の「大きさ」「位置」などの変化への対応もしやすいことも挙げられます。
たしかに大型で重量のあるものの移動・制御などには油圧式の機構が活躍しています。
安定感のある力強さは「油圧」ならではでしょう。