工具などに使用されている「特殊鋼」
2015年12月25日
「鉄でできている」といっても、その素材はさまざまです。
近年はDIYがとても浸透しているせいかホームセンターにはプロ仕様の電動工具も取り揃えられています。
こういった工具類を収集するマニアの方も多くいらっしゃいます。
ご家庭でも職場でも活躍している工具類は丈夫でなければ役に立ちません。
このようなものには「特殊鋼」が多く使用されています。
*** 工具にも使用される素材…
「鋼」は鉄に約0.03%~約2%の炭素が含まれているものをいいます。
これらは炭素鋼といわれ、炭素の割合によって軟鋼・硬鋼などがあります。
工具にも使用されている「特殊鋼」とはどういったものでしょうか。
炭素鋼は適度な粘りがあり広い範囲で使用されるものです、ここにさまざまな金属元素を加えて性能を向上させたものが「特殊鋼」です。
「特殊鋼」のいろいろ…
工具鋼:
炭素鋼・・・ヤスリ、刃物、ドライバーなど
工具用合金・・・タングステン、クロム、ニッケルなどを加えたもので「金型」の製作にも使用されています。
タングステン、クロム、バナジウムなどを使用するものに、回転切削工具(ドリル、エンドミルなど)にも使用されています。
構造用鋼:
炭素、ケイ素、マンガンを加えて、自動車や機械のフレームなどに使用されています。
建築物資材として・・・炭素、マンガン、クロム、ニッケル、アルミ、モリブデンなどを使用しています。
その他用途:
バネ鋼・・・炭素、ケイ素、マンガン、クロム、ニッケルなどを使用
ステンレス鋼・・・クロム、ニッケル、モリブデンを使用(食器や自動車などの部品製造)
ネジ用鋼・・・鉛、イオウ、カルシウムなど(ボルト、ナット、ネジの製造)
磁力鋼・・・コバルト、モリブデン、アルミニウム、タングステン、ニッケルなど、電気機器類の部品製造に使用
これらの「鋼材」はSUS、S55C、SUPなどと表記されます。
SUS・・・Steel(鋼)の”S”+SpecialUse(特殊)の”U”+Stainless(ステンレス)の”S”
S55C・・・Steel(鋼)の”S”+C(炭素)を0.55%使用
SUP・・・Steel(鋼)の”S”+SpecialUse(特殊)の”U”+Spring(バネ)の”P”
ほかにも、
鉄鋼品:FC10・・・(鉄[Fe]+鋳物[Casting]+引っ張り強度数値)や、
高速回転鋼工具:SKH51・・・Steel(鋼)+Kougu(工具)+HighSpeed(高速)
などといった表記もあります。
加える元素の配合次第で性能を引き出せるようになるというのは魅力的です、新素材の開発など夢も膨らみますよね。