「冷静と情熱の間で」アナログとデジタルの融合~その2
2016年4月5日
前回の記事はこちら。
前回では主に漫画制作において、最も手間のかかる仕上げ工程の
デジタル化の変遷を辿っていきましたが、人間の欲は飽くなき物で、
マシン・スペックの向上と共に、
「ペン入れした原稿をスキャンする手間が面倒くさい!」
という、より効率化への模索が始まりました。その要望に答えるべく
登場したのが、ペン入力型デバイス「ペン・タブレットなのです。」
「ペン・タブレット」とは
圧力感知センサーにより、筆圧を検知しモニタ画面上に、紙に描くのと同様の
線や筆運びの再現を可能にする入力デバイス。
一般的にサイズの大きい物ほど高額になり、プロ仕様となる。再現性を重視
している為、ペン先の種類から、タブレット上に敷く専用のシートまで、
オプションによるカスタマイズもクリエイターの要望に答えるべく、幅が広い。
「・・・ビックリするぐらい、使えない・・・・。」
決して、「使えない。」という訳では無いですが、漫画の紙に描く直感的な線質の絵を
描くのには、向いていないというのが本音です。
カラーイラストを描く分には、全く問題ないです。(安価な小さいタブレットで十分です)
使えない。というより、効率化を高める目的で導入しても、結果的に
「紙に描くほうが速い。」という本末転倒な状況になってしまいます。
最近はソフトも高性能化してますし、プロの作家さんの作品も普通に
フル・デジタル作画の物が掲載されたりしていますが、どうしても、
「パソコンで描いた」画面になってしまいます。(大手出版社では、基本的に
フル・デジタルには積極的では無いらしいですし、実際プロの作家さんも大多数は
未だにペン入れまでは、紙にアナログで描いているのが現状です。
「液晶タブレット」
それでもフル・デジタルでアナログと同じ画面が出したい。という方には、
15インチ程度の高額で作画に特化した液晶タブレットという物が約20万~で
出ています。実際に、このデバイスでアナログ作画と遜色ない画面を
フル・デジタルで制作されているプロの作家さんも増えてきています。
ですが、やはり使いこなすには相当の慣れが必要な様で、結局、使わず終いな方も
いるようです・・・・。
おまけ:「モニタ側の解像度の問題」
解像度=ピクセル数が多いほど、細かい作画ができます。すなわちアナログ画面に近づく訳ですが、
デジタル作画の場合、モニタ上で画面を拡大・縮小・回転しながら作画するので直感的とは言い難く、
拡大ができ過ぎる為に、かえって無駄に時間がかかってしまうのです・・・。