戦争とものづくり 第一次世界大戦前編
2016年10月7日
戦争はいけないことだ。
そんな当たり前のことだが、戦争が私たちの生活を豊かにするといった側面があるのは悲しいけど本当のことだ。
戦争に負けるということは滅亡や隷属を意味するために、相手より戦況を有利にするために様々な武器をはじめ、
医療技術やインフラなどの兵站に関するものはすべて研究の対象になる。
今回はそんな戦争で軍事目的だったものが民生用品になった例を挙げていこうと思う。
今回挙げるのは第一次世界大戦以前の戦争の発明だ。
もう一般に普通に普及しているので、どれも軍事目的で最初は作られたとは思えないものばかりだ。
この時代に登場したものの特徴は構造が比較的簡単なものが多い。
高度な技術や高コストでないので、産業革命によって大量生産が可能だったというのも大きく、また今よりも市民の生活水準が低かったために瞬く間に広まったのも特徴だ。
例えば普段我々が使用する腕時計。これも戦争の発明だ。
これは砲兵が懐中時計を手首に括り付けて、砲撃のタイミングを計測していたのをドイツ皇帝ヴィルヘルム1世がドイツ海軍用に作らせたのが広まったものと言われている。
ファッション関係ではトレンチコートもそうだ。
これは第一次世界大戦中にイギリス軍が寒冷地での戦闘のために開発したものだ。
トレンチコートの肩のショルダーストラップは本来オシャレのためではなく水筒や双眼鏡、拳銃の吊紐をかけるものだ。
ちなみにトレンチコートのトレンチとは塹壕という意味だ。
食品も戦争が普及させた分野がある。
瓶詰や缶詰がまさにそれだ。
19世紀では長期遠征の際に食料をいかに運ぶかが大きな問題であった。
1804年にフランスの二コラ・アベールが瓶にコルクで蓋をして、その上から蝋で密閉する方法を発明した。これが瓶詰の原型だ。しかし瓶は重いし割れやすい。
そこで1810年にイギリスのピーターデュランドが瓶の代わりに金属容器を使用して、それをはんだで密閉する方法の缶詰を開発した。