BDと第三世代規格戦争
2016年12月9日
今ではBD(ブルーレイディスク)という光ディスクが発売・レンタルされています。BDはDVDの次世代メディアとされ、光ディスクの第三世代規格とされています。用途は主に映画やアニメを高画質な映像で再生したり、今世代のゲーム機のソフトとして使われています。今現在はDVDが現役のため、まだBDはDVDほど普及してはいませんが、実はBDは正式に採用され次世代メディアとして認定し、普及するまでに数々の困難をくぐり抜けてきた凄いメディアなのです。今回はそのBDのお話です。
BDの他にHD DVDという規格が存在していました。2000年代当時は双方はどちらもDVDのさらなる次世代の統一メディアの座を狙っていたのです。BD対HD DVDの規格争いはどちらにも多くのメーカーが参入し、VHS・ベータ規格以来の大規模な規格戦争となりました。DVD規格の時のように交渉で丸く収まる事態ではなかったのです。
両規格の争いは製品化より以前まで遡ります。
BD規格の原型となるのは1999年7月にソニー・フィリップスが発表したDVR-Blue規格です。この規格の製品化を目指して開発が進みました。2001年に松下電器産業や日立製作所、東芝、日本ビクターにより「二層相変化RAMディスク」を開発。どちらも読み込みレンズに青紫色レーザーを使用するものでした。
2002年、DVR-Blueと二層相変化RAMディスクの技術を統合した規格が開発。この年に両規格の名称が定まります。同年2月19日にBlu-ray Disc(BD)の規格が発表、更に5月には「Blu-ray Disc Foundations」というBDを普及させる為の会社を設立します。8月29日に東芝、NECは共同で青紫色レーザーを用いた第3世代光ディスク規格を提案し、11月26日にHD DVDという名称で正式に承認されました。2005年4月21日に両陣営が規格統一で交渉に入ったことが報道されました。しかし、交渉は決裂。こうして、両規格の争いの火蓋が切って落とされました。
2006年に両規格のメディアのソフトが発売されます。3月31日にHD DVDソフトが発売。6月20日にBDソフトが発売。この年の当初はHD DVDが先行販売を活かしてリードしました。しかし、11月にBDを採用したプレイステーション3が発売されると状況は一変しました。Dソフトの売上が飛躍的に増加したのです。年末商戦ではプレーヤー・レコーダーのシェアでBDが94.7%を占めBDの圧勝となります。翌年にはレンタル店がBDを支持するなどしてBDに需要が増しました。HD DVD側は巻き返しを図ろうとしましたが、その後は2度目の年末商戦でもBDとのシェア争いに敗北し、BDのシェアの拡大は広まります。2008年に入るとHD DVD側は敗戦濃厚となり、3月28日をもってHD DVD陣営の推進団体が解散しました。
こうしてBD対HD DVDの戦いは幕を下ろしました。VHS・ベータ戦争よりも早く決着はつきましたが、争いの規模はどちらとも世界を巻き込むほどの大規模なものでした。