防食処理

2024年 9月 17日

金属表面処理の防食処理は、金属の腐食を防ぎ、その寿命を延ばすために行われる一連の技術や方法を指します。金属は酸素や湿気、化学薬品などに触れることで酸化や腐食が進行しますが、適切な表面処理を施すことでこれを防ぐことが可能です。防食処理にはさまざまな方法があり、用途や使用環境に応じて選択されます。

代表的な防食処理の方法は以下の通りです:

1. メッキ処理

亜鉛メッキ(ガルバニウム):亜鉛層を金属表面に施し、酸化や腐食を防ぐ。特に鉄鋼材に広く使われる。

クロムメッキ:耐食性や耐摩耗性を高めるために使用される。高光沢の表面を得られる。

ニッケルメッキ:耐食性を向上させるとともに、美観を高めるために使用される。

2. 酸化処理

アルマイト処理(アルミニウム酸化皮膜処理):アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成し、耐食性を向上させる。

黒染め(ブルーイング):鉄や銅などに黒い酸化皮膜を形成し、見た目の改善や防錆効果を付与する。

3. 塗装

粉体塗装:塗料の粉末を金属表面に吹き付け、加熱して硬化させる方法。非常に強い防錆効果を持つ。

液体塗装:防食塗料を塗布し、塗膜を作ることで腐食を防ぐ。特に屋外使用の場合に効果的。

4. 陽極酸化処理

電気化学的プロセスを用いて、金属表面に酸化皮膜を形成する。特にアルミニウムに適用されるが、他の金属にも使用されることがある。耐食性や装飾性が高い。

5. 防錆油や防食剤の塗布

特定の環境で使用される金属に、防錆油や防食剤を塗布することで一時的な防食効果を得る方法。例えば、工具や機械部品に使用される。

6. カソード防食

電気化学的な方法で、腐食しやすい金属(陽極)に対し、電流を流すことで腐食を抑制する方法。主にパイプラインや船舶などに使われる。

7. パッシベーション(不動態化)処理

金属表面に耐食性のある酸化層を形成し、それ以上の腐食を防ぐ。ステンレス鋼などに広く利用される。

8. 熱処理

特定の温度で金属を加熱し、その後急冷することで金属の結晶構造を変化させ、耐食性や硬度を向上させる方法。

各方法の選択は、金属の種類、使用環境(湿度、温度、化学薬品への暴露など)、コスト、外観、耐久性などの要因に基づいて決定されます。

 

ステンレス銘板